佐藤伊織

それがどこから降っているのか
何時やむのか
今がいつなのかもわからない黒い雨

傘の中に閉じ込められた
空気の湿った匂い

耳を塞がれた胎児のように
雨に打たれたまま眠っていれば
だれかが
ユリカゴを揺らしてくれるだろう

骨ばった白い腕が
瞼の裏側を過ぎる


自由詩Copyright 佐藤伊織 2006-05-01 23:26:28
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