カタツムリ
窪ワタル

滴るように
明日の予定を考えながら
窓の外を眺めて
濡れている植木鉢
サルビアの葉を這う
カタツムリになりたい

フランス人はカタツムリを食うらしいが
美味いか不味いかではなく
最初に食おうと決めた人は
きっとグルメ

カモメのジョナサンも
食わないでは生きられない
殺しながら生きているので
バランスをとるために
僕らは戦争を止められない

星の王子様は
砂漠が美しいのはどこかに井戸を隠しているから 
というけれど 
砂嵐の中で今日も人が死んだので
家族は泣くのに忙しくて
いつも喉が渇いている

サルビアの葉を這うカタツムリには
涙腺がないらしいので
きっと幸せに違いない

(殺さないといけないんだ)

カタツムリになって白い皿に寝転びたい
明日の予定なんかもうどうでもいい
どうせまた
殺しながら生きて行くんだし


自由詩 カタツムリ Copyright 窪ワタル 2006-05-01 02:05:04縦
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