ガラスの海
阿麻

傲慢なアロエが花開き
狼煙が上がれば
いけないものが
ひとつ ふたつ みっつ
投げ入れられた天然の業火によって
焼却され始める
炉の中で 
いけないものは
極上の白く澄んだ水晶の球に
姿を変える のが
見えますか

笑いさんざめく声が
数知れぬ数の波となって
また
いけないものが
ひとつ ふたつ みっつ
水晶の球が
弾け飛ぶ

やがて海の中に
いけないものの
全容が千切り込められた
その時、風はいそいで
凪ぎ出し
盲点を根こそぎ奪い取ったような
ガラスの海に沿ってあらわれたしじまの上を
今日だけは
喜びも悲しみも口にせず
ひとり渡ってゆく 私の凱旋が

見えますか




自由詩 ガラスの海 Copyright 阿麻 2006-04-29 10:31:23
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