灰虫想起
半知半能

蓮の花に
灰色の虫が
はり付いている

東から
日が昇るころにはそれは
干からびているだろうに
必死な鈍行路を
否定せず
飄々とある

フランスには
不正を許さぬ検事がいたが
粉飾された終末への帰路を
ふさわしい人生だと思っただろうか
不覚にも道端にて
腐乱した虫を
踏みつけた日もあった筈だ

平行した二生物の交差点
蛇の頭と尾の消尽点
霹靂たる些事に満ちた地球上

豊満な検事夫人はその日
本当の原因など知らずに
発作を起こして死んだ


自由詩 灰虫想起 Copyright 半知半能 2006-04-28 14:47:47
notebook Home 戻る  過去 未来
この文書は以下の文書グループに登録されています。
50音の習作たち