沈潜花
とうどうせいら

いつかまた
離れていくのに
君は今度もその腕で
僕を抱きに来たんだね。

どこをさまよったのか
野良犬みたいな
疲れた
君のひとみ。

僕はだめな大人だから
君が小さく
ごめん って言ったら
もう 戻れないんだ。

いつも
離せなくなるんだ。
いつも
逃げられなくなるんだ。

僕は都合のいい人間
自分の意志のない
食虫花に喰われていく
僕は ルリタテハ。

それでいいんだ。
待ってたんだ
ずっと
ずっと。

君の髪からこぼれる
甘い
シャンプーの香り
嗅ぎながら

僕は千年ぶりに
夢を見る。
まどろみの中で
君のことを

気にしてる
心配してる
愛しているというよりも
沈んでいく。

君の中に。




自由詩 沈潜花 Copyright とうどうせいら 2006-04-26 19:40:56縦
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