雲雀
銀猫
こんな晴れた日
野の緑はしなやかな腕を
天に向かって伸ばし
陽射しに仄かな生命を温めている
草むらをすり抜ける風は
蜜蜂の
しじみ蝶の
か細い肢に付いた花粉を
祈りに変えて
次の春を柔らかく土に隠すのだ
田舎道の隅で
そっと下草を踏みしめるわたしは
思い出を失くさぬように
握り締めて
年月に磨り減った靴を見つめ
ほうっと小さく息を吐く
一面に
菜の花の黄色が立ちのぼる
花畑では
思いがけず夢が連鎖している
懐かしい人は横顔で
けれど確かに頬笑む
(逢いたかった とても)
頭上高くから
空色は肌に降り
草いきれに胸が詰まる
胸が詰まる
空とわたし
ふたりぼっち