雲雀
銀猫

こんな晴れた日
野の緑はしなやかな腕を
天に向かって伸ばし
陽射しに仄かな生命を温めている

草むらをすり抜ける風は
蜜蜂の
しじみ蝶の
か細い肢に付いた花粉を
祈りに変えて
次の春を柔らかく土に隠すのだ


田舎道の隅で
そっと下草を踏みしめるわたしは
思い出を失くさぬように
握り締めて
年月に磨り減った靴を見つめ
ほうっと小さく息を吐く


一面に
菜の花の黄色が立ちのぼる
花畑では
思いがけず夢が連鎖している

   懐かしい人は横顔で
   けれど確かに頬笑む
   
   (逢いたかった  とても)

頭上高くから
空色は肌に降り
草いきれに胸が詰まる
胸が詰まる



空とわたし
ふたりぼっち



自由詩 雲雀 Copyright 銀猫 2006-04-24 15:36:06
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