紫の背反
こしごえ

夕焼けに
うす紫に染まった
ほほにひとすじ
熱いものが流れて
小さな手のひらで顔をおおう
影が淡く
暗い血潮へ暮れてゆき

無器用な翼の
色調不明する鳴き声が、
空ろに響く
指のすき間から見える
空とのさよならで燃える火球
時は現在いま
放たれた。
鋭く翻る口から
星の歌が閃く
ひとつ ふたつ みっつ よ
限界からあふれる花弁

先刻、臨界した花の
未来は深く眠る運命の雲。
予報の雨は、
大地に落ちることはなく
この静脈で霧氷となる
世界樹の先であえぐ私が、
万有引力のバランス内でくぼみ
いいえ、と繰り返している






自由詩 紫の背反 Copyright こしごえ 2006-04-23 16:19:34縦
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