自殺のライセンス
虹村 凌

親父は借金をさせてくれない



自殺のライセンスなんかとっくに失くしちまった

相変わらずな僕らは
煙草すったり酒を飲んだり
街で見る女の子を視姦したり
小馬鹿にしているアメリカーナと大差無く
明日に何かを期待する訳でも無く
無計画に日々は流れてゆく

休日は何時だって真っ黒で
そんな中に黄色と紫色の絵の具をぶちまけて
いつか大きな星になるなんてたわ言いいながら
何時だって眠る前の暗闇に怯えてたんだ

誰かの所為にしたくて仕方ない

僕らが仲良くなれないのは一部の人間の所為だ
僕が生きているのは彼女の所為だ
僕がオカシイ人間なのは親の所為だ
僕が神様を嫌うのはキリストの所為だ
僕が勉強を嫌いなのは先生の所為だ
僕が悪に憧れるのはヒールレスラーの所為だ
僕が負に憧れるのはアレックスの所為だ

もう一人で歩けないと言いつつも
何時だって夜道を一人で歩いてきた気がする

自殺のライセンスを何処かに落とした

誰かをコケにしながら生きていないと
僕の不安要素は存在しえない事になっていて
それでも何時だって何処かを尊敬している
どんな時でも消えて行かない
そんなものを探している

自殺のライセンスを失くした
そんな事はもうどうでもいいのだ
成人になっても煙草の味は変わらない
それで良いのだ


自由詩 自殺のライセンス Copyright 虹村 凌 2006-04-17 20:38:11
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