生きてこそ
アマル・シャタカ

生きてさえあれば
悲しむことだってできる
君の涙をそっと弾いて
星にだってしてあげられる

生きてさえあれば
将来だって泣けるんだ
それがどんなに悲しむべきことでも
消えてなくなることのほうが
どんなに楽であったとしても

生きてさえあれば
君を想う事ができる
白い肌に色をつけ
その鼓動は
宇宙の振幅だと
囁いてあげられる

生きてさえあれば
君は一人になることはない
たとえ心を氷の扉で閉ざしても
カキ氷にして
僕が食べてしまうから
ニッと笑って
君にみぞれを差し出すよ
たとえ
いちごが好きでもね

生きてさえあれば
たぶん永遠に
孤独は付きまとうのだろう
けれどもそれは
宇宙に自分以外の
君がいるから
という証明でもある
淋しいときは月に歌うさ

生きてさえあれば
君に抱擁されることだって
あるかもしれない
そんなことは
海に抱かれるよりも
安っぽいことだと誰かが叫んでも

生きてさえあれば
という言葉には
保障なんてないよ
ないさ
嘆きの地平に
君の影が伸びて
それが僕の生存を決定している
ということを
呪文にしたら
そうだったということ

金さえあれば
であっても
愛さえあれば
であっても
実はたいした違いはないのさ


自由詩 生きてこそ Copyright アマル・シャタカ 2006-04-13 21:48:37縦
notebook Home 戻る