はるか西にいるおきゃんな少女のために
吉岡孝次

  放り上げた空にあなたの姿が映るよ
  白くかがやくこの円天井は思いきり酸っぱい匂いがする
  廃車場のバスの屋根に寝転んで
  ぼくは若枝のように腕をのばすんだ
  てのひらにあたる光と風に
  Hello! のエガオを感じると ほら
  辞書はめくれた
  虫も跳ねてる!
  森の向こうにはいくつもの県
  とん、
  とん、と渡って抱きつきたいな
  あなたは
  きっと倒れてしまうだろうが
  起き上がれば
  帳消しだ
  逃げ出し洗いたての葉の裾に紛れては
  ショートカット
  振り切る
  水滴を散らすように約束は忘れてしまえ
  残るのは胸
  いっぱいにみたす青
  ウインク一つで
  待ちきれるかい?

             ── 草の上に降り立てばぼく
                の町は一面の交響楽。タ
                クトを握って、さあ、飛
                び込んでいけ!    



自由詩 はるか西にいるおきゃんな少女のために Copyright 吉岡孝次 2006-04-07 20:38:19
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