死んで欲しくなんか無いのに死ねと呟いた
虹村 凌

もっともっと時間が欲しかった
もっともっとお金が欲しかった
もっともっと欲しかった
もっともっと
もっともっと


全てを投げ出す事を知らずに
全て要らないと叫んだ
違いも分からないで
愛してると呟いた
殺す気なんかちっとも無いのに
死んじまえと吐き捨てた

煙草 珈琲 ギター コイン
シンナー マリファナ 指輪 ライター

自分の家の窓ガラスを割れずに
公園のゴミ箱を蹴り壊した
ヒネくれる事もグレる事も出来ずに
麗乱堕天使に憧れた
女を性向の道具と考えられずに
友達も心も失いかけた


家族が邪魔だったけ
死んでしまえと呟いた


夜の散歩道で見かけた
偶然明かりのついた一室に
「おかえり」と呟いた自分がいた


明日は「ただいま」って言おうと思った


自由詩 死んで欲しくなんか無いのに死ねと呟いた Copyright 虹村 凌 2006-04-04 05:28:11
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