桜 幽玄
千月 話子


 あれは、あの感じは何だろうねぇ。

桜並木を見ていると
足元が軽くなるねぇ。

そのまま気持ちを持ってかれそうだねぇ。

淡い桃色の真綿が降ってきて
体ごと包み込んでは
ふわぁ ふわぁ 揺られて夢心地

淡い桃色の風が吹いてきて
さわぁ さわぁ 心持ち上げられて
このまま このまま

わたし 桜の木になら
囚われの身になっても
・・・構わないかも しれないねぇ。




「可愛い 可愛い 桜の花見よ。
気に入った桜を見つけて
可愛い可愛い お前と花見よ。」

散った桜は流れ行き
川から海へ流れ行き
光り照らされ 海の魚
綺麗なウロコの 桜鯛

打ち上げられて 桜鯛
波打ち際で 光る鯛

残ったウロコは 桜貝
少女に拾われ 手の平で
見上げた空は 桜色
満開の 桜並木と同じ色



桜子と 言ふ名の
お姉様の 詩 歌う
姿を毎年 思い出しては・・・









自由詩 桜 幽玄 Copyright 千月 話子 2006-03-29 23:19:13
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