エスケープ
まほし

世界がスッと聞き耳を立てるから
私は黒猫になって逃げる

トレモロしはじめる胸の高鳴りと
アスファルトを飛び跳ねる
肉球のリズムが重なって
不思議な旋律を描くから
誰にも本音を捕まえられたりしない

ところが探偵の君だけは
行く先々で手を差し伸べるので

逃げようにも逃げられない
君へ君へ転がっていく
本音をさらして

月明かりの下
君の前だけで
私はひとりの女にもどる




自由詩 エスケープ Copyright まほし 2006-03-21 07:54:50
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