春酔
スイレンユキコ

涙が涸れる
くるしくなるくらいに
酔いつぶれて 明日を
忘れるほど 眠り続けた
胸がちぎれてしまいそうで ただ
川辺の桜を 見つめている
通り過ぎてゆくばかりの
意思とは 裏腹の
別離や出会いに
感情だけ 置き去りになる
幾度目の 春なんだろう
涙が涸れる
呼吸も出来なく なるくらい
子供のように 激しく
繰り返し 泣き続けた
身体の中の
何が反応 しているのか
不思議なくらい
壊れてしまいそうで ただ
川辺の桜を 見つめている
このままの 状況であれたら
という 消極的な願望を
抱いていた 愚かさに
目が醒める
幾度目の春なんだろう
自分が何処へ 向かってゆくのか
たまらなく 不安で
くるってしまいたくなる
涙が涸れる
その理由だけが 明確で
何ひとつ 拒まずに
もの凄い早さで ただ季節が
わたしとは関係なしに 巡っている
此処に存在している 今は
そうすることしか出来ない



自由詩 春酔 Copyright スイレンユキコ 2006-03-16 21:43:59
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