*はしっこの村*
かおる




はしっこの村にはな
働きもんのじさまと
ばさまが住んでいた

お日さまよりも早起きで
毎日、一汁一菜の粗食
いろり端にはやかんが
チンチンと湯気を上げ
窓辺には四季折々の彩り

雨降る日にも星降る日にも
肩寄せ合っていつの間にか
供に白髪が数えられるより
増え、皺が深くなっていく

たそがれどきには
櫛がかけるように
一人またひとりと
まんなか街なかに
出てった子供達の
朗らかな笑い声が
聞こえてくるよう

そんな時は

家畜やいぬとねこで
ぎゅうぎゅう詰めの
ちっちゃなおうちも
なんだかすきま風が
小さな胸をちくんと

幸せも欠けた月のよう

それでも自然の恵みを
がっちり掴んで感謝し

健やかに暮らしてたとさ


自由詩 *はしっこの村* Copyright かおる 2006-03-16 17:45:53
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