*はしっこの村*
かおる
はしっこの村にはな
働きもんのじさまと
ばさまが住んでいた
お日さまよりも早起きで
毎日、一汁一菜の粗食
いろり端にはやかんが
チンチンと湯気を上げ
窓辺には四季折々の彩り
雨降る日にも星降る日にも
肩寄せ合っていつの間にか
供に白髪が数えられるより
増え、皺が深くなっていく
たそがれどきには
櫛がかけるように
一人またひとりと
まんなか街なかに
出てった子供達の
朗らかな笑い声が
聞こえてくるよう
そんな時は
家畜やいぬとねこで
ぎゅうぎゅう詰めの
ちっちゃなおうちも
なんだかすきま風が
小さな胸をちくんと
幸せも欠けた月のよう
それでも自然の恵みを
がっちり掴んで感謝し
健やかに暮らしてたとさ