夜空
マッドビースト

午前二時の町に
星空はなかった

海の向こうの国に
旅立ったまま
この町の空は留守になっている

遠い都会に行ってしまった
若者はもう生まれた町のことなど
忘れてしまっただろうか

星空のない町は
それでも30メートル置きの
街頭の灯りでほのかに明るい

若者に捨てられた町は
若者のことを忘れてしまっただろうか
暗くならない空は
愚鈍だ

夜ともなればまだ空気は冷たく
風が顔を擦る

僕は故郷を忘れてしまっただろうか
あるべきものがないような気がする
なにがないのかが分からない
僕の心も愚鈍だ


自由詩 夜空 Copyright マッドビースト 2006-03-13 01:58:57
notebook Home 戻る  過去 未来