冷蔵庫の扉に貼ってあったメモ
佐々宝砂

切り刻め
春を
芽吹きを
生え初めたばかりのあわい下草を

切り裂け
よく研いだ鉈で
大地を
老いぼれた大樹を
枯れながらまだ生にしがみつく老骨を

一刀両断されたきみの住まいに
石英の霰ふる日まで
きみは
切り続けなきゃならない

きみは最後のヒトなのだから
最後まで暴虐を尽くせ


自由詩 冷蔵庫の扉に貼ってあったメモ Copyright 佐々宝砂 2006-03-06 15:07:45
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