*ワールドアパート*
かおる



蔦の絡まる瀟酒な鉄骨のアパルトマンの朝は姦しい

おくにことばが行き交って
美味しいゆげが湧いてくる

毎日どこかのお部屋から
喜びのうたがあふれ出し
ある部屋のかた隅からは
哀しみのうたが滲みだす

自分本位でゴリ押すと
破裂おんが満ちてくる

誰かの為に涙して
誰かの為に喜んで

挨拶には満面の笑顔仮面と思いやり

隣の芝生のあおさを羨むよりも
きれいと嬉しがる気骨がほしい

みんなほんのちょっと飢えていて
そして、少しだけ満腹なおうちが
一つだけのテラという共同住宅に
ちんまり、きっちり収まっている


自由詩 *ワールドアパート* Copyright かおる 2006-03-06 08:41:58
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