魔王と出逢った(縁側の記憶)
イズミナツキ

私は縁側に座り
お茶をすすって
あの時のように
溜息を空へと放った

魔王が消えて私は思った
なんてことはない
魔王の正体は
「恋」だったのだ

私は「恋」と出逢った
わかりづらいけど
そう思い込んだ
その方が納得できるから

そもそも
こんな不思議な出来事を
言葉で表せってのが
無理な話なんだ

「また会おう」

魔王は言った
それは
私はまた恋と出逢えるということ
私はまた魔王と出逢えるということ

今更だけど私は
魔王に恋していたのかもしれない

でも気付く前に魔王は消えてしまった
でも後悔はしていない
これでさよならなんかじゃないから
また逢えるんだから

結局は全て私の想像であって
魔王の正体はわからないし
もしかしたら幻だったのかもしれない
それでも私は歩む勇気を手に入れた

いや、幻なんかじゃない
あのマントの中の温もりは
確信を持って言える
幻なんかじゃない

私は
私達は
魔王と戦う勇者
恋と戦う勇者なんだ

私は縁側に座り
お茶をすすって
あの時のように
溜息を空へと放った

待ってて、魔王
いつかあなたのもとへ
私は
あなたを倒す勇者だから


自由詩 魔王と出逢った(縁側の記憶) Copyright イズミナツキ 2006-03-05 20:13:36
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