緑のたぬき
tonpekep

緑のたぬきとして暮らしている
暮らすことに対しては苦痛ではないけれど
もう随分と古狸であるものだから
化かされているんじゃないのかと
ボンズで飲み食いした後
カードを使用すれば
店員は裏表をライトに翳して
くるくるくると頭の上で確認している
葉っぱじゃないですよ
それは昔々4チャンネルのことです
咳払いをひとつしてネクタイを締め直す

ぷらぷらとネクタイを揺らしながら
バス停に向かうと
そこはいつでもお花畑で
時刻表には
到着時間が記入されているのだけれども
「なるべく努力します」とか
「頑張ります」とか
「行けたら行きます」とか
言い訳のような時刻ばかりで
最終の時刻には
「俺ばっかり!」なんて書いてある

今晩は妙に明るいなあなんて思ってお花畑を見つめていると
小さい花がたくさん咲いているとばかり思っていたのですが
それは小さい満月がたくさん光っているのでした

といつの間にかわたしの側には
双子の小さな女の子が待っていて
「猫バス来るかなあ」
なんて呟いているのでした

何か間が持たないような気分になって
心臓に汗がたら〜りとしたような感じの中で
つい
たんたんたぬきのキンタマの歌を口ずさみましたら
それが双子の女の子には非常にウケて
みんなで猫バスを待ちながら合唱するのでした
満月のお花畑の中で繰り返し繰り返しリフレインする
風もないのにぶうらぶら

たぬきの術は禁止されているのですが
月の葉っぱを3枚千切って
ざるそばを作りました
「ざるそば大好き」と言ってくれました


自由詩 緑のたぬき Copyright tonpekep 2006-03-03 20:27:21
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