間隙を縫うには
アマル・シャタカ

生きてきた
ということと
生きる
ということを
つなぐ接着剤を探してみた
奇妙なことよと
笑われた

愛だの恋だの
言葉を環にして
誰かの指に通してきたけど
水に濡れた紙のように
溶けて消えただけだった

淋しい絃を爪弾いて
美しい音色を奏でれば
世界で一人きりになるのは
簡単だった

重くて飛ばない
言葉があった
軽くて飛べない
言葉があった
みんな明日には死んでいく

死が荘厳であるとすれば
詩も荘厳であればいい
苦が感情の発露であるのなら
句も感情の萌芽であればいい

言葉の砂山に棒を立てて
誰かと心を探りあえば
棒は倒れて
共倒れ

差し出した心が
カラスに突かれても
腐食しても
差し出すより
わたしにはない
どうせみな
明日には死んでいく

あなたの心を
魚のように貫けば
わたしの手に落ちても
死なせてしまう
明日に死すといえども
耐えられない

生きてきたことと
生きるということ
新たに
生きていこうとするものが
ある

接着剤は見つからない


自由詩 間隙を縫うには Copyright アマル・シャタカ 2006-02-28 23:59:32縦
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