*ひたひたと満ちてゆく*
かおる
冷え性だからか
この頃、心も凍ってしまったかのようで
溶解温度は何度位だろう
変温動物に変身完了していたのかな
冬の厳しさと一緒に空虚に陥っている
花は咲くのだろうか
宇宙の底まで研ぎすます
☆の煌めきはナイフの切れ味
あんなにくっきりと
ピカピカ輝いていた星の詩が
一雨毎に遠くに段々離れていくようで
突然の春が来た宣言で驚いたのは鼻ばかり
冬枯れた大地にどっしりと立っていた
セピア色の時の狭間に
蛹のように冬眠中だった樹々も
茶色の鎧を脱ぎ捨てて
ほんのり薄紅色の薫り
夜空を紗のカーテンで遮るよう
すると街の灯りが人恋しさを呼び戻し
海のはらからを一粒、ポロロン
雨に混ざって春の呼び水になるのか
薄ちゃけていた屋台骨に
ひたひたひたと薄紅色の鼻緒
葉脈を駆け上り
みどり色の世界への
ピンク色の蜃気楼のような
架け橋になる日も直ぐそこに