紅い花
チアーヌ

寒空の下
風に吹かれ
飢えと
渇きと
もう生きていてはいけないと
説得されても
首を垂れ
ぼろぼろの花弁を開き
咲いている
紅い花
もうお仕舞いなんだよ
もう待つ人は来ない
来年また会いましょう
大きな鋏が刃を広げ
わたしの首元へ
ねえ
もう少し待って
あの人が来るまで
もう少し待ってちょうだい
花の季節は終わりだと
あなたは言うけれど
わたしはまだ咲いているのよ
花弁は傷だらけ
もう回りには誰もいない
艶を競った姉妹たち
ライバルだった友人たち
みんなみんなもういない
わかっているの
わかっているけど
紅い花
紅い花
もうお仕舞いなんだよ
その細い首を切り落とすのが僕の仕事さ
一瞬で落ちるよ
そしたら君はまた来年ここで
蘇るのだから
きらりと光る
大きな刃
ああ
ああ
もう少し待って
あの人が来るかもしれないの
あの人が来るかもしれないから
お願い待ってください
来年咲く花は
もうわたしでは
ないの
ぼろぼろの紅い花が
最後に見たのは
灰色のコンクリートの

そして
ゴミ袋の




自由詩 紅い花 Copyright チアーヌ 2006-02-20 20:01:30
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