夜のメッセージ
佐々宝砂
俺はこの島にあって
風のまにまに漂う
俺の声を聞いたら
おまえはもう自由ではない
そこにはない雨のしずくが
おまえの頬を洗う
足が重いと感じたら
そこに俺がいるのだ
手が動かないと思ったら
俺がおまえをとらえた徴だ
夜の雨がおまえの肌を刺したら
おまえはもう見失っているはずだ
・・・おまえ自身を
おまえはなぜ硬直しているのか
おまえは俺にくちづけた
夏の雨に打たれ廃屋の壁に背をもたれて
会いたいと祈ったのはおまえ自身だ
そちらの世界に固執する愚かな兎よ
・・・顔をあげて
こちらの世界においで
自由詩
夜のメッセージ
Copyright
佐々宝砂
2006-02-17 22:21:31