傷ついた翼で
服部 剛
よく晴れた日の午後
逃げ場の無い闘いに疲れた僕は
ベッドに寝転がり
重い日常に汚れた翼を休めていた
ラジオのスイッチを入れると
君の唄声が流れていた
窓の外に広がる青空に
今も何処かで唄い続けている君が遠くから
あの日のように僕を見つめている澄んだ丸い瞳
( 彼方には
( 小さい飛行機
( ひとすじの雲を敷いてゆく
ラジオから流れる
打ちひしがれた人を励ます君の唄声は
透明な翼となり 窓の外へ羽ばたいてゆく
しくじってばかりの日々に半ベソかいて
生きることを阿呆らしく思っていた僕
べっドからゆっくりと身を起こす
眠れなかった昨日の夜中
「あきらめ」という
弱々しい文字を書いた日記のページを破り
握り締めた拳の内に丸めて
ゴミ箱へ投げ捨てる
( もう一度、飛んでみせる )
傷ついた翼を羽ばたかせ
未知なる明日へ