傷ついた翼で
服部 剛

よく晴れた日の午後
逃げ場の無い闘いに疲れた僕は 
ベッドに寝転がり
重い日常に汚れた翼を休めていた

ラジオのスイッチを入れると
君の唄声うたごえが流れていた 

窓の外に広がる青空に
今も何処かで唄い続けている君が遠くから
あの日のように僕を見つめている澄んだ丸い瞳

彼方かなたには
( 小さい飛行機 
( ひとすじの雲を敷いてゆく 

ラジオから流れる
打ちひしがれた人を励ます君の唄声は
透明な翼となり 窓の外へ羽ばたいてゆく 

しくじってばかりの日々に半ベソかいて
生きることを阿呆あほらしく思っていた僕


べっドからゆっくりと身を起こす


眠れなかった昨日の夜中
「あきらめ」という
弱々しい文字を書いた日記のページを破り
握り締めた拳の内に丸めて
ゴミ箱へ投げ捨てる 


( もう一度、飛んでみせる ) 


傷ついた翼を羽ばたかせ 

未知なる明日へ





自由詩 傷ついた翼で Copyright 服部 剛 2006-02-16 18:31:29縦
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