早春歌
恋月 ぴの

叙情の彼方を探るように この岸辺にて
翼を休めるものよ 優しげな日差しと
聞こえ来る 春の訪れを告げる歌声
地に生けしもの総て 目覚めの刹那を夢想する


巡る季節の旋律は いつにもまして気紛れで
待ち遠しさに 唇は震え
募る恋しさに 胸は高鳴り 
思いの丈と戯れる その歌声よ


弦を押さえる指先で 羽を繕うものよ
束の間の歓びと知りつつも
水面にゆらぐ日差しに誘われ 弓を滑らせては


そよぐ風と 羽ばたく翼の 饗宴に
その歌声は 春の兆し
確かに聞こえ来ると頷く幕間に 花一輪


自由詩 早春歌 Copyright 恋月 ぴの 2006-02-13 07:08:28
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