明日の朝も僕等は
服部 剛

ある友は移動中のバスで吊り革に今朝もぶら下がり
車窓が雨に濡れるのを見つめながら
渋滞で出勤時間の近づく腕時計を見ていらついていた

もう一人の友は勤務先の病院で
昨日の眠れない夜のせいで睡魔に耐えながら
病人に昼食を食べさせていた

僕はといえば職場の便所で
最近なぜか身の入らないふぬけた面を鏡に映し
決められたことを行うロボットの一日をなげいていた

オフィスの窓から眺める眼下の街は
あちらこちらに夜の明かりが灯り始め
書類をデスクに投げ出した私と
隔離されたガラス窓の彼方には
ビルの谷間を染める夕空

薄暗い無数のビルの足元に
ありの如き人々は歩み
窓辺から夕空へ視線を溶かすと
背後にいる同僚や上司の姿は
幻に透けてゆく

日が暮れたガラスの闇に
再び浮かび上がるふぬけた自画像

( 私は私の顔を描きなおしたい ) 

朝日が昇るごとに戻る振り出しの日々
明日も僕等はそれぞれの空の下
自らの影を引きずって
いつもの駅へ続く道を歩いてゆく 



自由詩 明日の朝も僕等は Copyright 服部 剛 2006-02-10 01:01:28
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