不良少女白書
山田せばすちゃん
無理をして煙草をすつてむせてゐる不良少女の涙は?し
先輩が先輩の先輩と住む部屋の隅つこで膝抱へてゐたり
頰骨に沿つて濃い目のチーク入れアイシャドーは?、特攻少女
ラメ入りのミュールはサイズが小さくて踵が少しはみ出してをり
金刺繡「全國制覇」と氣合入れ四國の縣を四つ言へない
手の甲に根性燒きの
瘡蓋
(
かさぶた
)
を七つ竝べる特攻少女
絞りハン段付シートのスクーターどこかピザ屋のそれに似てゐて
ぱられろと三連ホーン勇ましや「誰もアタイを止められないぜ」
戀愛は嚴禁アタイら硬派だと夜空見上げる凜々しい少女
集會の夜に出會ひし運命の少年の仕事は鳶の見習ひ
アンパンで前齒が溶けた少年の笑顏
眩
(
まばゆ
)
し戀の始まり
特攻服
(
とっぷく
)
が二つ竝んでハンガーで搖れてゐました初めての夜
あの頃はバカやつててと
嬰兒
(
みどりご
)
を抱いてあやせる十九の
若母
(
ヤンママ
)
短歌
不良少女白書
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山田せばすちゃん
2006-02-09 19:36:29縦