(ペチカの黙秘)
こしごえ

日はこの時ついに陰ることはなく

交叉点の信号が
青ざめて進めという
曲線に添った産声が
白い手で羽ばたき
円周率へ視線をおくり

目をふせた
ふせないで
みつめて
林檎の赤
子が母の乳房にキスをする世界
光がステンド・グラスを祝福した

小さなてのひらが指さす
虹を帯びた太陽を
瞳に映して
クリア・エッセンスを燃やすペチカ
燃やす燃やせペチカ
宙の天秤でうつむくレコード

回旋曲の内で膨らむ
遠心力で分離された
私の影
どこまでも黒く透ける影 ノ
旋律に輪舞する記憶の旋風

日はこの時ついに陰ることはなくて






※ペチカ=暖炉の一種。



自由詩 (ペチカの黙秘) Copyright こしごえ 2006-02-07 11:51:20
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