プーナ
七尾きよし

昔、あるところで
ボクはぽつんと座っていた
そこは大理石が敷きつめられた
この世の楽園のような
神聖な空間

ぼくは誰を待っているわけでもなく
ただじっと座っていた
すると
青い目をしたユダヤ人の女の子が通りかかって
困ったような
気の毒そうな
気がかりでしょうがないとでもいうような
そんな表情で歩みよってきて
ぼくの顔をのぞきこんで
「なんでそんなにさびしそうな瞳をしているの」
と言ってボクを抱きしめた
ボクはぽかんとした顔をして彼女を抱きしめつつ
孤独な少年の瞳をして
一人ぽつりと座っている自分の姿を
頭の中で思い描いた
そして
そんなボクを見つけてくれた彼女に恋をした
そんな物語


自由詩 プーナ Copyright 七尾きよし 2006-02-07 01:55:48縦
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