うつつな夜のオルゴォル
たりぽん(大理 奔)

星はひとつづつ
オルゴォルのピンのよう
ゆっくりと巡って
光の楽譜をなぞる

  昼に
  雪を降らせるのは雲で
  夜に
  雪を積もらせるのは月だと
  指揮棒で譜台をたたく
  啄木鳥

白に染まった無響室で
はなった言葉は
季節を失いむなしく
どこにも届かない

私の星と和音するのが
君の星であればいいのにと
じゃまな星屑を
石炭袋に放り込んで
ああ、そんなんじゃ
旋律にならない

そのたびにひとつずつ数え
降りそそぐ
熱のないオルゴォルの音色が
全身に乱反射し
頭痛がやまない
(そんな寝苦しい夜もあるんだ)

誰にも救えない
自分の後ろの正面に
(おびえる夜だってあるんだ)

不器用な歯車はまわす
星のドラムをゆっくりと
透明な不協和音を
奏でながら







自由詩 うつつな夜のオルゴォル Copyright たりぽん(大理 奔) 2006-02-07 00:51:40
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