夜想(第二稿) 
服部 剛

真夜中の部屋で独り
耳を澄ますと聞こえて来るピアノの音
沈黙の闇に 響く「雨だれ」

( ショパンの透き通った指は今夜も
( 鍵盤の上で音をつむいでいる

写真立ての中で肩を並べる懐かしい人々が
時を超えて私に微笑む

色褪せた遠い記憶を
この胸によみがえらせる旋律メロディー
古い日記の閉じたページへと流れる
小川のせせらぎ

真夜中に現れた幻影
ピアノの詩人が奏でる
言葉の無い音の水滴

心に沁み入り

閉じた瞳に涙腺は緩む 



 * 自家版詩集「明け方のあお」(01年)より  





自由詩 夜想(第二稿)  Copyright 服部 剛 2006-02-06 00:30:06
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