曲がり角
石川和広

いのちだもんね
乱れるもんね
明るいもんね
光と葉っぱ
うねる赤ちゃん
バス通りのサイレンス

突き破っちゃったよ
人の中
無防備なまま
完全に狂ってるよ
そう
いのちが
いのちが

曲がれないで
走ってるの
時に気持悪いよ
悪酔いだよ
夢見ず眠れ
曲がり角のサイエンス

だって、薬で頭は治るのかい
薬の中で生きるのは
からだだ
からだけど
曲がった筒で
困った人間

だから、生きていることは
ずっと実験
実験
恐ろしいくらい試すんだ
試されてるんだ
こんな
小さなぼくだって
ラケットだって
打ち返す玉だって
虫だって
湯呑みだって
すべて走ってるの

そんな中
僕は
ふるえながら
煙草を吸い
そうだ
僕も生きているんだ

知らない兄ちゃんと話す
正直緊張するし
ここは病んだ者の
くるところ
誰も病んでいない
すぐには
答えを上手にいえないだけ
だから、いろんな人が病んでいて、病んでなくて、その中で認識を高めていくんだ
だから、みんな
別れていくんだね
最近
やっとわかった
怖いけど
やってみるもんだ
病気だから
いつまでも
悲しんではいられないんだ

そうして
魚みたいに
さっと
流れをからだで
つかみ
泳いでいくんだ
曲がり角を
空気を
水を


自由詩 曲がり角 Copyright 石川和広 2006-02-04 17:55:54
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