それが喩え、だとしても
たりぽん(大理 奔)

凍える桜の枝を煮る
花の色に染まる
記憶のひとひら

なくしそうな
砂のらくがき
ため息で
消して

あなたの指した
電柱の奏でる擦弦楽の季節
手をさしのべても
触れるもの何もなく
自分の胸
抱きしめては
あしたの方角を探す

悲しいことばかり
じゃなかったのに
あなたを思い出した途端
とまらないものがある

水面みなもに揺れる
プレアデスのように
届かない
時間がある





自由詩 それが喩え、だとしても Copyright たりぽん(大理 奔) 2006-02-03 23:40:08
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