遠い手紙
石川和広

孤独な日には時雨る
空気が重い
わたしは一日中寝た
黒人が
国道脇を歩いていく
何人も
わたしは絶望しない
楽天でもありえない

遠き友より手紙きたりて
わたしは
寂しい夢を追い返す
外は霧
昨日は疲れた
速いくらい
人が集まってくる

わたしは集まりの中に入れない
わたしの狂気は
わたしを人の外へ
おいやろうとする

わからない顔が何度も
浮かんで
それに逆らえずに
また
うつら
うつら

うつの中に
空っぽの中に
わたしがつまっていて
遠い手紙はわたしを
勇気づける
とてもいいことだ
最高だ

古いうたが聞こえて
夕方になる
空は白

わたしは
少しいきかえる

そう
いろんなことがあったね
これからもあるね
悪いことばかりじゃないよね

黒い部屋に
昼から
電灯がぽつり
たばこ四本
缶コーヒー
時間がとまる

テレビの上の花は
正月から
枯れてない
障害者手帳

不意に句読点がくる
今日は
空が見えない
遠い手紙よ
それも空だ


自由詩 遠い手紙 Copyright 石川和広 2006-01-31 16:16:38
notebook Home 戻る  過去 未来