「MIX&REMIX」  二月のうた
山田せばすちゃん

鱗粉を撒く蝶々を姉が追い
便りもとうに絶え果てて、二月

珈琲の苦さも世界のおしまいも二月の書棚に封印されて

死してなほ国歌と定めし
売女ばいたをば二月の空に弔う君が代

隅のほうまで日夜赤虫の夢ばかり
二月の部屋においでませ

カッターをカチカチさせて保健室
二月のシーツ冷え冷えとして

圏外のサービスエリア出る頃にメールが届く
「二月だよ、来て」

抗菌のボールペン握り立ち尽くす二月の朝の受験会場

引き出しの中で小さな人が読むための手紙は二月の消印

爪を噛み吐き出してみたそのかたち!
(二月十日の月に似ている)

蜂蜜をかけて闇夜に置き去りにされて泣いてた二月の記憶

追いかけた音符につまづく舌のこと覚えていますか?
あれも二月です


短歌 「MIX&REMIX」  二月のうた Copyright 山田せばすちゃん 2006-01-30 01:26:08
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