コ・タオ
七尾きよし

眠れない

蚊帳の中寝苦しそうな貴女の
汗ばんだ肌をじっと見つめながら
手と手を重ね合わせて
ぼくらはつながってるんだと
確かめようとした夜

独りぶらぶら浜辺を歩く
ヤシの木揺らす風に
吹き寄せられてハンモックに横たわるボク
一年に五人くらいは死ぬんだよ
と聞いたことを思い出し起き上がると
ドスンと背中をかするココナッツ墜落した

ナタを一振り実がぱかりと裂ける音
ジュースはまずボクの口へ注がれる
幾重もの繊維質に囲まれた殻の中
ココナッツジェリー 
ジュースの後のお楽しみ

バンガローに戻るとベランダにもハンモックぶーらぶら
どこに行ってたの
と黒いふちどりの中の瞳がぼくにささやく
返事することなくするりともぐり込み
ぶーらぶーらと
二人揺れていた
揺れる揺れる
お月様の下
南の国の二人


自由詩 コ・タオ Copyright 七尾きよし 2006-01-27 22:46:28
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