貧しい人
ベンジャミン



貧しい人の手は、いつも淋しいかたちをしていて
貧しい人の目は、いつも悲しい言葉を探している


(本当は、とても綺麗な詩が書きたいのです)


雪降る夜の寒さは、震える指を動かして
して、そして
けして真っ直ぐには語りません

貧しい人は何も欲しがらないかわりに
ただ、漠然と求めてしまうからです

だから簡単に死を語る人を嫌います
簡単に死ぬ方法を知っているからです

貧しい人は、貧しさに耐える心を持っています
そうでなければ、生きて行けないのです


(本当は、とても綺麗な詩が書きたいのに)

貧しい人の目は、全ての色を見ることはなく
貧しい人の手は、全てのものに触れたがるので

心の底から安心することもなく
心の底から愛したいと願っています

だから簡単に詩を書いてしまっては
簡単に書いた詩に、追い詰められて
れて、壊れて
しまいそうになります


(本当は、とても綺麗な詩を書きたくても)

貧しい人の手は、いつかの夢を掴もうと
貧しい人の目は、いつか涙でないものに

満たされたいと願うほど

さも悲しげに
自分の貧しさを嘆いています





自由詩 貧しい人 Copyright ベンジャミン 2006-01-25 01:15:56
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