花にこめて
七尾きよし
花びらに触れることなく
ただやさしく
その香りを
いとおしく思う男がいて
花が永遠にその美しさを
伝えるために
ミツバチは羽根をふるわせ
いとおしく蜜を吸う
さみしがり屋の
待ちぼうけ坊やは
来る来ないくるこないと
花びらを地面に散らせ
人生で一番美しくなるはずの日の朝に
ちょきんと首斬られ
さびしげな生首を侘びさびと
花を「愛する人」が言う
冬の日の木漏れ日
枯れ枝のすき間は大きくて
まぶしそうに一輪の花
白雪の間に見つけた
未詩・独白
花にこめて
Copyright
七尾きよし
2006-01-23 00:53:43