そらにひびくこえ
服部 剛
穏
(
おだや
)
かな初春の陽射しを
額
(
ひたい
)
にあびて
目を細め のんびりと自転車をこいでいた
狭い歩道の向こうから
杖をついたお
爺
(
じい
)
さんがびっこをひいて
ゆっくり ゆっくり 近づいて来る
( お爺さんと僕がすれ違う時 )
網目のフェンス越しに
ラケットを手にした白い服の青年の軽い足どり
黄色い球をはじき返しては
「 ファイトー・・・! 」
と青い空へかけ声を響かせる
歩道の上で自転車をこぐ僕の
背負っていた日頃の悩みが
幻と消えた ひととき
自由詩
そらにひびくこえ
Copyright
服部 剛
2006-01-15 13:13:55
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