晴れた冬の昼下がりには妄想してみたい
七尾きよし




それはぐずぐずしながら
わたしの後を追いかけてくる
大またで歩いてるかと思うと
小またで歩きだし
走りだしたかと思うと
わたしの背中にぶつかり
うごっ っと意味不明な音をたて
また静かに私のあとについてくる

どっか行きなよ
とも言わないもんだから
それは黙ってついてくる
あっち行けよって
ときどき言いたくなるんだけど
いないのもさみしいもんだから
ついつい甘やかしてしまうの

ともだちいないんだろうな
きっと仕事もないんだろう
だっていつだって後ろを振り向けば
それがいるんだもの
そういうわたしはどうかって言えば
特に仲いいともだちもいないんで
いつもそれとだけ一緒にいるってことになる

でもなんだかしらないけれど
うっとうしくなんないんだな
空気みたいで
吸うとわたしの存在がはっきりするようで
わたしを慕ってるようなそれがいて
なんとなく気持ちよくて
今日も振り返ればそれがいる


自由詩 晴れた冬の昼下がりには妄想してみたい Copyright 七尾きよし 2006-01-14 20:05:19
notebook Home 戻る  過去 未来