家族を失った君へ
七尾きよし

悲しみをことばにするとき
そのことばを捧げる人の顔が浮かんできて
切なくて 
からだがひきさかれるような痛みの中で
しょぼくれた顔をする私にむかって
彼女は静かに話してくれる
ただ何も言わずじっとわたしを見つめることで

どこにもやりどころのない感情を
誰もわかってくれやしない悔しさを
彼女はただ黙って聞いてくれ
無言のことばで答えてくれる
泣いていいのよ
感じていいんだよ
あなたはここに生きている
わたしは
あなたとここにいるんだよって


自由詩 家族を失った君へ Copyright 七尾きよし 2006-01-12 23:43:35
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