第二章
七尾きよし

穏やかな春の陽光がイトオシク感じるようになるころ
青年時代という果実は爛熟のときをむかえる。
熟しきった果実が無様に地上へ落下することを惨めに思いおそれおののく者もいれば
落下し、ぐしゃりと潰れ 飛び散る果肉や種子の行く末にエロスを見い出す者、
美を失うことによって永遠の美しさの一部となることに悦びを見い出す者もいる。
怖れとは死への恐怖であると同時に実は快楽への衝動なのです。
惜しまれながら失われる青年の時は
背徳のにおいがするエロスの扉への道しるべでしかなかったことを
あなたはいつか見い出すのです。





二十歳1995


自由詩 第二章 Copyright 七尾きよし 2006-01-11 20:56:43
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