身代わりの羽花
maumi

服を着た悪魔 身を乗り出し覗いた先
ずぶ濡れの女がひとり歩く先に断末

声もなく花もなく ただただ枯らし泣く
気にすることもなく 過ぎる目の前

握りしめたポケットの中の最後の言葉
命を削る匂いを嗅ぎ分ける嗅覚

地上に降りて放つ挫折臭
ついて行く影さえ その力のなさに消える前触れ

奪うだけが仕事じゃないと
悪魔が笑う

牙を抜き 尻尾を引きちぎる悪魔が近づく

涙なら流せる 痛みも覚えた
服を着た悪魔の黒い片翼
消えかかる羽は悪魔の断末
誰かの為に流した涙は
服を着た悪魔の最後の残り

後に残るのは 黄色い羽花

正反対の色をつけるその花を
君の片翼に咲かせよう

気付くことはないかもしれないその花は
身代わりの代償

気づかないかもしれないが
誰の肩にもある

身代わりの羽花


自由詩 身代わりの羽花 Copyright maumi 2006-01-11 00:05:16
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