ゆきうさぎ
落合朱美
つめたい指をしている
と あなたは言って
ふたまわりほど大きな掌で
包みこんでくれた
ゆきうさぎの見る夢は
ほのかに甘い想い出ばかりで
わたしは人のぬくもりに
慣れていないから
可笑しいくらいにぎこちなくなる
朱いお盆にのせられた
ゆきうさぎは
陽のあたる場所に置かれて
だらしなく融けはじめ
わたしは足もとから
ほろほろと崩れてしまいたい
どうかこのまま このままと
言葉にできないままに
心で叫ぶ
淋しいうさぎは生きてはゆけない
自由詩
ゆきうさぎ
Copyright
落合朱美
2006-01-10 23:47:43縦