明け方の碧
服部 剛

真夜中の浜辺に独り立つ
君のかたわらに透明な姿でたたずむ 詩 は
耳を澄ましている

繰り返される波の上から歩いて来る
夜明けの足音

君の胸からぬぐえぬ悲しみは
夜空にまたたいている あの 小さい星

やがて
波音が繰り返されると
星達は白みゆく空に消え
水平線からゆらめき昇る朝陽あさひ
ゆるやかに世界の色を照らす頃

君の隣に佇む 詩 は
頬を撫でる風となり
体内を廻り

魂の燭台しょくだいほのかなあおい火を灯す




    * 自家版詩集「明け方の碧(あお)」(01年)より  





自由詩 明け方の碧 Copyright 服部 剛 2006-01-07 02:18:04
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