暗号表
あおば



言葉を紡いでいる人がいるという
言葉の繊維を解きほぐし
紙にしたり
糸にして布にしたりしてから
その上に文字というものを書くのだという

最近は、
言葉が不足しているから
誤解が生じるのだという
言葉が不足するのは
言葉が高価だから倹約するのだろうか
クルクルと使い回したり
リサイクルしたりするのだろうか

言葉をことのはという人もいる
木の葉に似た言葉と思う
クルクルと回転しながら木の葉が舞い降りる
舞い降りる間だけは
自由な発想が許されると言うように
てんでに舞い降りる姿は少しずつ異なる

人と異なる言葉を使いたがる人たちが居る
皆と同じ言葉を使いたくても使えない人もいる
原っぱで焚き火をしている人たちもいる
ダイオキシン汚染の公害防止に反すると
眉をひそめて黙って通り過ぎる人たちの群の中で
落ち葉は赤い舌をちらりと見せてくすぶり続け
風のない煙が目に染みる夕方には
つぎつぎと呪われた情報を伝えるかのように
狼煙のようにまっすぐに立ち上る

便利な言葉が通じないこともある
外国の人たちとばかりではなくて
昔から隣に住んで居ても
言葉の意味が違うことがある
狼煙の情報を読み解くには、
簡単な暗号表が必要なのだが、
暗号表の所在も分からないままに、
落ち葉の煙が原っぱに立ち昇っていく





作2002/10/25
フォーラム投稿にあたり一部修正しました。


自由詩 暗号表 Copyright あおば 2006-01-06 00:09:54
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