ジーナの一月
嘉野千尋


  真夜中に、
  嵐の音が怖くて目を閉じたジーナ
  だけど嵐の音じゃなかったみたい
  目を閉じている間に、
  季節が変わってしまって
  途方に暮れてる小さなジーナ
  ふれる前に、雪は溶けてしまったから
  冬のことは何も知らないジーナ
  本を開いて、一瞬の旅に出たけれど
  風がページをめくっていくから、ジーナ
  まだ微笑んだまま
  ジーナ、毛糸の手袋をしたまま
  公園に忘れ物をしたまま
  忘れられた約束を、
  それでも大切だと言うジーナ
  お揃いの手袋だったから
  雪だるまに話しかけて
  ずっと座り込んでる一月のジーナ
  ジーナ、ジーナ
  楽しいことが大好きな
  だけど悲しい時でも笑ってしまう
  ジーナ、僕の小さなジーナ
  もう君は泣いてもいいんだ、ジーナ



自由詩 ジーナの一月 Copyright 嘉野千尋 2006-01-05 18:01:18縦
notebook Home 戻る  過去 未来