金魚
きいろ


干からびてゆく金魚を
何の感情も無さそうに眺める

(あぁ、乾いてゆくのだな、と)

ピンクが赤にかわっていく
なぜ苦しむ姿はこんなにも奇麗なのか

(私は私であり、苦しんでいるのはそいつでしかないのに、少し、少しだけ苦しい)


『あぁ、死んだのか』




とうとう動かなくなったそいつは、
机の上で目を開けながら死んでいる

あまりにも呆気ない

呆気ないからこそ、人は怖がるのかもしれない、そう思った

(私はそいつを土の中へ埋めてやった)




飼っていたが、やはりそいつの命はそいつのものでしかなかった


思ったよりも、必要な存在だったのかもしれない


(虚しさをごまかすために、また飼った)



未詩・独白 金魚 Copyright きいろ 2006-01-05 06:32:27
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